経済学者は喫茶店の経営には手を出さないほうがいいのでは。

ダメ元でコメント欄に投稿したら思いがけなく返事が来た。抱腹絶倒だ。

何いってるの (池田信夫)2007-02-21 22:48:18

山形氏の記事に何と書いてあるかなんて、どうでもいい。あなたのような信者にとっては、教祖が何といったかが大事なのかもしれないけど、普通の読者にとって問題なのは、その理論がどれぐらい説明力があるのかということです。山形氏の話も松尾氏のモデルも、「平均生産性」では国内の賃金格差を説明できないんですよ。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/da4a4e6c3d49221f8b9e2887069fc623

流石にこいつに対する以下の返信は黙殺されたようだ。

>山形氏の記事に何と書いてあるかなんて、どうでもいい。

正気ですか?そこには、「その理論で何を説明しているか」が書いてあるんですよ?

>「平均生産性」では国内の賃金格差を説明できないんですよ。

山形氏の記事に「『平均生産性』で国内の賃金格差も説明できる」と書いてあるかどうかはどうでもいい、と主張しているわけですね。

まあ大体こんな感じで。
さて、当初の池田先生の主張に立ち戻って考えてみよう。

普通の経済学では、賃金は労働の限界生産性と均等化すると教えている。たとえば喫茶店のウェイトレスをあらたに雇って時給800円を払えば、1時間に400円のコーヒーが2杯以上よけいに売れるとき、店主はウェイトレスを雇うが、ウェイトレスが増えて限界生産性が低下し、1人増やしてもコーヒーが1杯しか売れなくなったら雇わない。

山形氏は、日本のウェイトレスが途上国のウェイトレスより高い賃金をもらっていることを説明しようとしているようだが、これは彼のような訳のわからない話を持ち出さなくても、上の教科書的な論理で説明できる。日本では、ウェイトレスを1人雇うことによって増える売り上げは800円だが、中国では80円しか増えないかもしれない。この場合には、時給も限界生産性に均等化されるので、80円になる。では、なぜ1杯のコーヒーが日本では400円なのに、中国では40円なのだろうか? それはサービス業では国際競争が不完全だからである(ここでは簡単のためにサービスの価格だけを考え、豆の価格は無視する)。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/cd4e52fd7cca96ac71d0841c5da0cb75

赤字の部分をみれば、最初は彼も理解していたのだということは明白だ。彼はそれを「コーヒー1杯の価格差」のせいであり、それは国際競争が不完全だからだ、と説明した。「なんだ自分だって『限界生産性』だけでは日本のウェイトレスが途上国のウェイトレスより高い賃金をもらっていることを説明できてないじゃん」なんてつっこみはしない。それ以前にたとえが気持ち悪くてしょうがないから。

売上が800円/hしか増えないのに時給800円のウェイトレスを雇う喫茶店オーナーは経営に向いていないと思う。趣味ならいいかもね。

まず、売上を増やすためにウェイトレスを雇うという発想は一般的ではない。普通は、店主が忙しさに耐えられなくなるか、あるいは客にサービスの低下を指摘されたときに、ウェイトレスの雇用を検討する。ウェイトレスを雇う動機は、サービスレベルを維持または向上させるためだ。お客の無駄な待ち時間を減らして満足度を向上させるためだ。また、店主が注文取りや配膳やレジ打ちに忙しすぎて、肝心のコーヒーの煎れ加減がぞんざいになっては困るからだ。結果的に売上は増えたかもしれないーー減らずにすんだかもしれないーー思ったよりも減らずにすんだかもしれない。
でもまあ、中には「売上を増やすためにウェイトレスを雇おう!」と思う店主がいるかもしれない。サービスレベルを上げて顧客満足度を向上させてリピーターを増やそう!と。それでも、売上を800円/h増やすために時給800円のウェイトレスを雇う喫茶店オーナーはいない。1杯400円のコーヒー、原材料費は80円くらいかな。それでも0円ではない。

簡単なシミュレーションをするつもりが力尽きた。晩安。