生産性の話−肝心なエピソードは何処に?

山形「生産性の話の基礎」エントリにおいて、池田ご執心の赤字で書かれた一文を含むブロックのサブタイトルは、太字で

生産性の国際比較−サービス業は世界的に大差ありませんわよ

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070211/p1

である。このブロックでは、まず比較事例がいくつか挙げられる。

  • ガーナやマラウィの医者 vs 日本の医者
  • フィリピンやガーナの床屋 vs 日本の床屋
  • スリランカマクドナルド店員 vs 日本のマクドナルド店員
  • タイのメイド喫茶の女中 vs 日本のメイド喫茶の女中
  • モンゴルの官僚 vs 日本の官僚


すべて同業種間での日本と諸外国の比較だ。そして問題提起。

人間を相手にするサービス業では、時間あたりの処理人数で見た生産性は、(略)先進国でも後進国でも変わりようがない。にもかかわらず、その稼ぎには大きな差がある。なぜ?

これに対する山形の回答(自問自答)が、池田ご執心の赤字の部分である。

賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ。

そのあとは山形お得意の説教である。

あなたたちの給料が高い理由の大半は、あなた自身の優秀性なんかとは何の関係もない。(中略)あなたの生産性はスーパー貧困なカンボジア同じ業種の人と大差ない。所得水準ほどの差があるわけがない。

カンボジアの同業種の人との国際比較だ。さあ、この話の流れのどこに「ウェイトレスとプログラマの賃金格差という肝心のエピソード」がでてきたのだろう。

『いや、最初の「賃金水準」を全体的な賃金と解釈すると、これは「生産性の高い国では賃金も高い」というtrivialなことをいっているだけ』
(池田「山形浩生氏へ」エントリのコメント欄「二律背反(池田信夫)2007-02-20 01:33:59」)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/da4a4e6c3d49221f8b9e2887069fc623

まさにそのとおり。完全に理解している。ここは赤い太字にしていい。

勝手に「ウェイトレスとプログラマの賃金格差という肝心のエピソード」を捏造して、「説明できない。どっちに解釈しても、このデカ文字の命題はナンセンスなのです」などと言いがかりをつけているのは池田のほうだ。反論者は、山形の「生産性の話の基礎」エントリのどこで、ウェイトレスとプログラマの賃金格差が問題にされているか指摘してみてほしい。百歩譲って前エントリ「ゴッドランドの経済学」からでもよい。

#「基礎」の話なんだから、経済学者から見ればあたりまえの話なのはあたりまえだ。そして、「あたりまえ」は「ナンセンス」ではない。

## 誰もつっこんでないみたいだけど、売上が800円/hしか増えないのに時給800円のウェイトレスを雇う喫茶店オーナーは経営に向いていないと思う。趣味ならいいかもね。